10年程前、TVニュースにふと目が留まった。「銚子電鉄経営難」。HPには「ぬれ煎餅や鉄道グッズを買ってほしい」との切実な訴えが載っていた。協力しよう!すぐさま申し込むと、程なくお詫びの手紙が届いた。注文が殺到し発送までしばらく時間が欲しいとのこと。経営が大変な時にここまで気を使ってくれるとは。その誠実さに打たれ、植草さんは一気にファンになった。
銚子は、江戸初期からの醤油の町。黒潮打線で甲子園を制覇し全国に名をはせた所だ。その玄関口JR銚子駅から犬吠埼灯台を左に見て、甘く美味しいと有名なキャベツの畑の中を6.4キロ、いかにも年季の入った電車がトコトコと走っている。「銚子怪談、走る電車内でお化け屋敷」。今年も知恵を絞りチャレンジ中だ。
◎ぬれ煎餅
20年前から作り始めたが、手焼きゆえに1日に作れるのは500枚が限度だった。WEBでの注文は1日1~2件、それが会社の窮状が掲載されると注文はたちまち2000件に増加。他社の支援を受け専用工場を作った。しっとりとした歯ざわりが口に優しいぬれ煎餅は、濃口、薄口、甘口の3種類。ビールにも合えばお茶請けにも合うから嬉しい限りだ。懐かしいほど香ばしい醤油味が口に広がり、いつまでも後を引く。
◎開運切符
本銚子(もとちょうし)駅から上り線で銚子駅へ‼これこそ「本調子から上り調子」と、小学受験から国家試験まで大人気の開運切符。ところが本銚子は無人駅。この切符は隣の観音駅で販売されている。犬吠から上り銚子行の恋愛成就、君ヶ浜からの縁結切符もあり、この3点が揃うと人生いうことなし。銚子電鉄には合格や結婚の報告がたくさん届くと駅員も嬉しそうだ。